1. 輸入元の国の分布と輸入量・種類について
  2. 近年の傾向
  3. 原産各国でのふぐの食用の有無について
  4. どのような形で日本へ輸入されているのか?
  5. 海外ではどのような業者が輸出をしているのか?ルールについて

1. 輸入元の国の分布と輸入量・種類について

農林水産省が公開している農林水産物輸入情報によると、2018年1月~5月までのふぐの総輸入量は、1,282,636kgとなっています。輸入元の国は、第1位が中国で1,279,172kg、第2位が韓国で3,464kgです。ふぐの総輸入量に占める割合は、中国が約99.7%、韓国が約0.3%となっています。

厚生労働省検疫所によると、日本で輸入が認められているのは、漁獲領域(日本海・渤海・黄海・東シナ海)内で獲れる21種類のふぐと規定されています。くさふぐ、こもんふぐ、ひがんふぐ、しょうさいふぐ、まふぐ、めふぐ、あかめふぐ、とらふぐ、カラス、しまふぐ、ごまふぐ、かなふぐ、しろさばふぐ、くろさばふぐ、よりとふぐ、さんさいふぐ、いしがきふぐ、ハリセンボン、ヒトヅラハリセンボン、ねずみふぐ、はこふぐです。

2. 近年の傾向

前出の農林水産物輸入情報によると、日本のふぐの総輸入量は、2017年1月~5月で1,698,933kg、2018年の同時期で1,282,636kgです。このことからわかるように、ふぐの輸入量が、前年比で24.5%減少しています。韓国からのふぐ輸入量はほぼ横ばいで、中国からのふぐ輸入量が大幅に減少しています。

これは、ふぐ食を一時的に禁止していた中国が、2016年から再びふぐを食べるようになったこと、和食文化の広がりから海外の日本料理店でふぐ料理が食べられるようになったことが影響していると考えられます。つまり、海外でふぐの需要が増えたことが、ふぐ輸入量の減少につながったということになります。

日本には、2006年5月に施行された食品衛生法のポジティブリストという制度があります。これは、農薬等の残留基準を超えた食品を流通禁止にするもので、残留基準のない食品に関しても設定された基準を超えると、流通が禁止になるというものです。この食品の中にふぐも含まれ、この頃から中国産ふぐの輸入量が減ってきました。このポジティブリスト制度によるふぐの輸入量減少への影響も、少なからずあると言えます。

中国は、ふぐ養殖に適した海に面した広大な陸地があり、「とらふぐ」や「まふぐ」の養殖が盛んです。日本に輸入されるふぐの中には、海で獲れるふぐだけでなく、養殖のふぐも含まれています。養殖の中でも、日本に輸入されるのは、ふぐの中でも高級とされるとらふぐです。これにより、安く安定して輸入でき、ふぐの流通量が確保できます。

3. 原産各国(中国・韓国)でのふぐの食用の有無

2016年のふぐ漁獲量を見ると、ふぐの三大原産国は、中国・日本・韓国です。この3つの国は世界の中でもふぐ漁獲量が特に多く、自国でふぐを食べる習慣があります。日本では、ふぐを刺身や鍋などにし、ふぐは高級食材として扱われています。韓国でも、ふぐを刺身などにして食べる習慣があります。中国だけは、昔から一部の地域でふぐが食べられていましたが、政府から毒性を理由にふぐを食べる事が26年間禁止されていました。2016年からは、中国でも政府が許可を出した日本料理店など、条件付きでふぐが食べられるようになりました。

中国・日本・韓国以外の国は、ふぐを食べる習慣がないことから、ふぐの漁獲量も少ない傾向にあります。世界の多くの国で、ふぐは毒魚とされ、食べられることはありませんでした。近年は、外国人旅行者が日本でふぐ料理を食べることから、ふぐの認知度が上がり、ふぐを食べる習慣が広まってきました。海外で、ふぐ料理店は少ないですが、特別な許可を得た日本料理店などで、ふぐが提供されるようになっています。特にアジア圏は、日本料理店も多い事から、ふぐ料理を食べる機会が増え、ふぐの人気が高まっているようです。

4. どのような形で日本へ輸入されているのか?

ふぐの輸入には、天然ふぐか養殖ふぐかを問わず、いくつかの決まりがあります。獲れたふぐは、輸出国側の公的機関(認可を受けた業者)に運ばれます。

ふぐは見た目でふぐの種類がわかるように、処理をしていないそのままのふぐか、ふぐの内臓のみをすべて取り除いた状態にします。ふぐを急速冷凍し、-18℃で保管します。その際、冷凍はふぐの個体ごとに行います。同一種であれば、ふぐの背面と腹部が確認できるように凍結します。ふぐ輸出国側により、ふぐの種類・ふぐを漁獲した海域名・ふぐの衛生処理の記載がある証明書を用意します。これをふぐと一緒に輸出する決まりとなっています。

輸入した日本側は、ふぐを輸入する度に検疫所で鑑別が行い、申請のふぐと一致すれば、晴れて輸入が認められます。もし、申請したふぐとは異なるふぐが混入していた場合は、食品衛生法により厚生労働大臣又は登録検査機関の検査を受ける事となっています。このように、ふぐの輸入には厳しい検疫があり、安全性を確保しています。

5. 海外ではどのような業者が輸出をしているのか?ルールについて

農林水産省の調査によると、最もふぐを輸出している中国は、ふぐを安全に加工できる公的機関に輸出を任せています。養殖ふぐは、養殖業者がふぐ加工工場を作り、公的機関として認定を受け、ふぐを輸出しています。中国には、出入商品検査局の「輸出ふぐ加工及び検査人員資格認可証」というふぐを取り扱う資格があります。ふぐ輸出のためにふぐの内臓などを除去して加工できる資格です。日本で言う「ふぐ調理師免許」のようなものです。ふぐの輸出業者は、必ず「輸出ふぐ加工及び検査人員資格認可証」を有する人だけを雇用し、認可をうけた工場でふぐを加工することを義務づけられています。

養殖ふぐは、養殖場でふぐを稚魚から育て、冬は屋内の広大な池にふぐを移します。ふぐの共食いや傷を防ぐために、成長に合わせ3回ふぐの歯を除去しています。1年半、手間暇かけて育てたふぐは、安全に食べられるふぐとして輸出されます。

まとめ

日本のふぐ輸入元は中国と韓国で、日本に輸入されるふぐのうち99.7%は、中国産です。近年、中国国内でふぐを食べる習慣が復活した影響もあり、日本へのふぐ輸入量が大幅に減っています。また、和食人気から海外の日本料理店国でもふぐを食べられるようになり、これまでふぐを食べる習慣がなかった国でも、ふぐの需要が高まっています。

日本に輸入されるふぐは、21種類あります。天然ふぐは、漁獲した海の場所やふぐの種類などの証明があります。中国の養殖ふぐは、陸上と海の養殖場を使い、1年半かけて育てます。「とらふぐ」と「まふぐ」を養殖していますが、日本に輸入されるのは、養殖とらふぐです。天然ふぐも養殖ふぐも、政府が認めた公的機関でふぐを捌く資格を有した人によって加工され、急速冷凍され日本へ運ばれます。

輸入後は、日本でもふぐの種類などに間違いがないか検疫を行っています。日本のポジティブリスト制度に即したふぐと信頼出来る業者を経由して、安全な輸入ふぐが日本に流通しています。