1. 聞きなれないふぐの身欠きとはなにか?
  2. 身欠きの手順
  3. なぜ身欠きにして販売をしなければいけないのか?
  4. 身欠きフグを捌く時の注意点
  5. 今後の懸念点や危険性

1. 聞きなれないふぐの身欠きとはなにか?

身欠きと聞いて「身を欠く」ので骨だけになるのというイメージを抱く方も多いと思います。
この場合の身欠きとは、食べられる部位だけを残す処理のことを言います。
語源的にも「身欠き」は腹を裂いて腹身周辺の部位を処理することと定義されているようです。
これはフグだけに限らず、マグロやタイなどあらゆる魚の処理に対して使う言葉です。
ここで注意したいのは、あくまで「食べられない部分」を除外しただけであって三枚におろすなどの調理過程の処理ではないということです。
例えば通販などで「身欠きフグ」を買ったらすぐに食べられる状態で送られてくるわけではないということになります。
毒のある内臓や余分な皮などが排除された状態で送られてくると思うとよいでしょう。
そこからはご家庭での処理と調理が必要になりますので、身欠きフグを買う場合はいったいどこまで処理されているのかよく確認することが大事になってきます。
自宅で対応できないものを買ってしまうと非常にもったいないことになります。

2. 身欠きの手順

水揚げされたフグを身欠きにするには当然のことながら、毒のある内臓を除去する必要があります。これは今の日本では「ふぐ調理師」の免許を持った人以外では認められていません。トラフグなど有毒なフグの場合、内臓が流通することはまずありません。ヒレもヒレ単体として流通します。一般的な市場で流通している身欠きフグはすべてこのふぐ調理師によって処理されたものです。理論上、市販の身欠きフグで中毒を起こす可能性は限りなくゼロに近いと言えます。余談ですが、国内で発生するフグ毒中毒のほとんどすべては、自分で釣ったフグの身欠きを自分でやって失敗したケースです。フグの身欠きは非常に繊細かつ、専門知識が必要になる技術ですので素人が生知識でやると大やけどをする可能性があります。単純に内臓を取り除くだけでなく毒素の入った部位を傷つけない等様々な専門知識と技術が必須になります。安易にフグを身欠きにするのはやめましょう。

3. なぜ身欠きにして販売をしなければいけないのか?

高級食材として知られるトラフグはもちろん、多くのフグには毒があります。
この毒がある部位を安全に排除したものが商品として流通することを許されているのです。
そしてフグを下処理して身欠きにできるのは「ふぐ調理師」だけです。
どうして国家資格のふぐ調理師以外が処理した身欠きが流通できないのか、簡単です。
昔からフグで当たる人がとても多いからです。幕末の志士、山縣有朋は下関名物フグを食べなかったそうです。度胸試しでフグを食べることを勧められた山縣は「誠に命を捧げる武士のすることではない」と固辞したそうです。それだけ素人が捌くフグは危険ということだったようですね。ですので、今ではふぐ調理師以外の人が捌いた身欠きフグは出回っていないのです。言ってしまえば、身欠きフグと銘打って売られているものは「安全宣言」された商品と言えます。間違って食べてしまうと本当に命に関わることになりますので、プロが身欠きした商品しか出回っていないのです。

4. 身欠きフグを捌く時の注意点

身欠きフグを捌く際に一番大事なのは「湯引き」です。
フグ刺しをイメージすると生で捌いているイメージがありますが、まずは数秒湯引きすることが重要です。軽くボイルして切れ味のいい包丁で捌くことがポイントになります。
フグは小骨も多く背骨もしっかりしているので三枚におろす時も刃が骨にあたって弱い包丁だと欠けてしまいます。専門の職人さんになると専用の包丁を常にメンテナンスするようですが、素人では難しいのでよく研いだ包丁を選ぶとよいでしょう。また背骨に身を残しても大丈夫です。唐揚げ、みそ汁、テッチリなど使い道は多いので思い切って三枚におろしましょう。ただし、刺身にする場合は身を薄めに切る必要があります。尾を手前にして包丁を引くように切ることがポイントです。尾と身の向きに注意して引くことを意識して包丁を扱うことを心がけましょう。
基本的に細かい作業になりますのでくれぐれも怪我に気を付けて行うことが一番重要です。

5. 今後の懸念点や危険性

「身欠きフグ」の定義はおおむね、おわかりいただけたと思います。
毒素のある危険な部分を必要最低限な処理しかしていないこと、それ以降の工程は自分でしなくてはいけないことは押さえておくとよいでしょう。
その代わり、プロが処理をしているので毒に当たって中毒にという心配は一切ないことですね。フグに関して言えば、身欠きの状態は内臓のない魚を捌く工程からスタートすると考えるとよいと思います。よって通販や道の駅などで販売されている「身欠きフグ」は素人が買って調理しても安全です。前述したように、専門とまでは言いませんがその後の調理過程で気を付けるべきところはありますが、専門知識は必要ありません。
これから秋から冬にかけて、フグがおいしい季節になりますので是非、身欠きフグを見つけたら買ってみて様々なふぐ料理にチャレンジしてみるのも面白いかもしれませんね。