1. 新種のふぐの発生について
  2. なぜふぐのハーフ(雑種・新種)が生まれるのか?
  3. 主なニュース・新種事例
  4. 雑種の危険性
  5. 今後の懸念点や危険性

1. 新種のふぐの発生について

日本では、数年前からふぐの新種が発見されるようになってきました。水産研究・教育機構水産大学校は2017年に非常に気になるデータを発表しました。内容は、2012年から2014年までに国内3県で水揚げした252種のふぐの遺伝子を分析したところ、ショウサイフグとゴマフグの雑種149匹が確認されたとのことです。それまでは、ショウサイフグもゴマフグも交雑することはなく、それぞれが純粋な系統のふぐたちでした。
この新種の雑種ふぐは、圧倒的に日本海側よりも太平洋側で発見されている傾向があります。
見た目がショウサイフグやゴマフグに似ているため、プロの眼でなければ判別に支障をきたしています。こういった新種のふぐの発生は、全く喜ばしいことではありません。ふぐ漁に実際に関わっている方達や、ふぐを食事として提供している方達、ふぐの生態系や漁獲量の変化について研究をされている方達など、影響がある方は数多くいます。何よりも、長い目で見ると消費者に影響を生じるのです。

2. なぜふぐのハーフ(雑種・新種)が生まれるのか?

近年で発見されたのは、ショウサイフグとゴマフグのハーフです。そもそもこの2種は生息地域が違いました。ショウサイフグは主に太平洋側の海に、ゴマフグは主に日本海側の海に生息しているふぐです。
本来ならば交わることがなく、それぞれに住み分けができていたこの2種のふぐがなぜ交わってしまったか。理由として考えられているのは、世界中で問題になっている地球温暖化です。地球温暖化は陸上の気温だけではなく、海水の海水温にも影響が見られており、世界中で魚の分布域が変化しています。その結果、今まで住み分けが効果的に行われていた地域でも住み分けが崩れ、魚の種を越えて交雑が行われることとなり、あらゆる種類の魚で雑種や新種が生まれています。
今回報告されたショウサイフグとゴマフグのハーフですが、水温の変化でゴマフグが日本海を北上し、津軽海峡から太平洋側へ入り、ショウサイフグの住み分け地域に入り雑種が誕生したと思われます。

3. 主なニュース・新種事例

奄美大島沖に生息するアマミホシゾラフグの発見は、大きなニュースとなりました。オスは砂地の海底に直径約2mの放射線状幾何学模様を作り出します。2015年に、ニューヨーク州立大学の国際生物種探査研究所が毎年発表する、「珍しい生態などからとくに注目すべき新種トップ10」に見事選ばれました。
アマミホシゾラフグのオスは、胸びれや尾びれを使って砂地の海底に1週間かけて模様を作り出します。ごみなどのほんのわずかな障害物も、オスは口にくわえて模様の外へ押し出します。
この模様の中心部で、メスは砂の上に卵を産むのです。卵が孵化するまでの約1週間の間、オスは胸びれや尾びれで卵めがけて新鮮な水をただひたすら送り込みます。
この国際生物種探査研究所に報告される新種生物数は、年間1万8千種もあるとのことです。その中から上位10種に選ばれるのは、とても名誉あること。日本から報告された新種がトップ10に選ばれたのはこの年が初めて(同じ年にふぐ以外の新種も選出され、日本はダブル受賞という輝かしい年でもありました)でした。

4. 雑種の危険性

雑種は、非常に問題のある危険性を抱えています。それは、毒のある位置が明確に分析されていないことです。雑種ではなく、あくまでも純粋なショウサイフグとゴマフグでしたら、すでに毒のある部分は分析・解明されています。食する際に気をつければよいだけの話です。
しかし、雑種の場合、その雑種のどの部位にどのような毒が含まれているのかが全く分からないのです。その親が持つ毒のある部位と同じ部位に毒があるのかどうかは、全く分かりません。ひょっとしたら毒がないかも知れないし、実はあるかも知れない。あったとしても、親とは別部位に毒があるかも知れないのです。ふぐには毒があることは誰もが知っていますが、その部位が特定できないまま食事として提供することはできません。今回の研究ではたまたまショウサイフグとゴマフグの雑種が見つかりましたが、他のふぐ同士での雑種の発生もすでに報告されています。極論を言うと、雑種が増え続けると、純粋なショウサイフグやゴマフグといったふぐ自体が絶滅してしまうかも知れません。

5. 今後の懸念点や危険性

現在確認されているショウサイフグとゴマフグの雑種で考えます。
雑種の繁殖率は非常に強いことが知られています。2017年の水産研究・教育機構水産大学校による調査では、この時点でショウサイフグとゴマフグの雑種同士によるふぐ(第二世代と呼ばれます)の存在は確認されませんでした。しかし、雑種の繁殖率が高いことから想像できるように、今後第二世代、第三世代が現れる可能性は全く否定できない現状です。
雑種が増えると、ふぐの住み分けがさらに崩れ、ますます見た目だけではそのふぐの名前が分かりにくくなります。その世代のどこに毒があるのか、それともないのかの判別がますます困難を極めます。
現在、ふぐ加工業者は、ふぐの選別の際に判断がつかないものは絶対に流通させないよう注意に注意を重ねて対応しています。熟練した職人でさえ、少しでも怪しいと思ったふぐは流通させないで自分の手でブロックしているのです。
本種と雑種の見た目は変化がないことが多いそうです。また、雑種の世代が積み重なればなるほど、ふぐ自体の特徴があいまいになります。多少ふぐに慣れた方でも、見た目で可食部を判断するのは非常に危険になってきています。
地球温暖化の影響で、ふぐの生息域に変化が生じています。今までは住み分けでそれぞれのふぐがそれぞれに適した場所で生息していましたが、水温の上昇によりその生息域が乱れ、雑種や新種のふぐが増えてきています。雑種や新種のふぐの登場は、ふぐにとっても人間にとっても非常に大変な問題を生じます。