1. 禁漁期間とは?海で漁が規制される期間があるの?
  2. ふぐに禁漁期間がもうけられている理由
  3. ルールはいつからできたの?だれが決めたの?
  4. 地方による特色、事例
  5. 禁漁期間のふぐ漁師さんたちの活動

1. 禁漁期間とは?海で漁が規制される期間があるの?

ふぐは1年中漁獲可能な魚ではありません。実はふぐにはとても重要なふぐ禁漁期間がもうけられています。ふぐの禁漁期間は地域ごとで違いがあり、それぞれの地域のふぐの漁業の実情などを考慮した上で決められています。概ね毎年5月から8月末までの期間をふぐの禁漁期間として設定する地域が多い傾向にあるようです。
例えば、大分県のふぐはえ縄では4月1日から8月19日まで。宮崎県のふぐはえ縄では毎年4月1日から8月31日まで。愛媛のふぐはえ縄一部地区では毎年4月1日から6月30日まで。広島県の5トン以上のふぐはえ縄では8月いっぱい。山口県のふぐはえ縄では4月1日から4月20日、および毎週日曜日。和歌山県のふぐはえ縄一部地区では4月から9月の間で年ごとに決めることになっています。
それぞれの地域によるふぐ禁漁期間の違いは、ふぐの産卵期の違いにも密接に関係があります。ふぐ漁獲の7割以上は0歳と1歳のふぐで占められています。九州南部のふぐの産卵期は3月下旬から。瀬戸内海のふぐの産卵期は4月から5月。若狭湾や七尾湾のふぐの産卵期は4月から6月です。地域の差の理由は、水温の上昇とともにふぐは北上する性質があるからです。稚魚は成長に伴い再び生まれ故郷に戻ってきます。

2. ふぐに禁漁期間がもうけられている理由

近年、日本におけるふぐの漁獲量は年々減少傾向にあります。理由は、ふぐ漁解禁により乱獲が生じたことや、産卵場の埋め立て、日本以外の国の船にて多数のふぐが漁獲されてしまった経緯が考えられてはいますが、はっきりとした要因の解明には至っていません。現在の漁獲方法をこのまま続けた場合、10年後のふぐの漁獲量は現在の半分以下まで落ち込むことがすでに予想されています。ふぐ漁の専門家達による様々な研究の結果、特に現在の0歳~1歳のふぐの漁獲を2割以上抑える必要があることが指摘されました。
貴重なふぐの資源保護目的に、ふぐの漁獲地では、それぞれの地域事情に合わせて独自のふぐ禁漁期間を設けています。
ふぐに禁漁期間が設けられている理由として、ふぐ毒と夏場の貝毒の関連を上げる方がいます。夏場に毒性が増すから、という理由をよく見聞きしますが、これには根拠がありません。
禁漁期間だけではなく、ふぐ漁獲可能期間でも、ふぐ漁獲時に使用する針の大きさに制限をもうけたり、漁獲したふぐの大きさによっては再放流を規定するなど地域独自の規定を設定し、ふぐの資源保護に努めています。

3. ルールはいつからできたの?だれが決めたの?

ふぐの漁獲量の減少を重く見た水産庁は、平成17年(2005年)から平成23年(2011年)にかけて九州や山口県でふぐ禁漁期間の設定やふぐ漁船の制限、小型ふぐ保護などを目的としたトラフグ資源回復計画を実施してきました。
この計画が終了した後も、水産庁が計画した内容を参考に各地域それぞれに状況を鑑みながらルールを決め、独自の禁漁期間をもうけるなどの対策を講じて対応中です。
現在、全国各地にある水産研究所、水産振興センター、水産総合センター、水産試験場、海洋センター、水産技術センターなどが協力し合い、適宜ふぐの資源評価を行っています。
水産庁主催の資源管理のあり方検討会でも、ふぐの資源評価については個別事例として取り上げられています。平成26年には、20府県の関係漁業者達にてトラフグ資源管理検討会議も開催されました。国の広域種資源造成型栽培漁業推進事業も活用されており、今後は天然魚だけではなく、資源管理と連携しながら集中的にふぐの放流を行い、放流魚も増やしていく予定です。

4. 地方による特色、事例

ふぐの禁漁期間には、それぞれの地域によって様々な特色があります。
例えば、ふぐの水揚げ高が全国の8割を占めることから、ふぐの名産地で知られる山口県西部の下関市。毎年4月30日には、下関ふぐ供養祭が行われています。元々のふぐ供養祭の意味は、その年1年間に食べたふぐへの感謝と供養の意味を込めたものです。全国各地からふぐ料理店の人や加工会社、水産業者など、ふぐに縁のある方が多く集まります。地元の小学生が関門海峡へトラフグを放流しています。
また、東京の魚市場でも、2018年までは毎年4月に築地でふぐ供養祭が行われていました。こちらでは、隅田川の岸壁からふぐを放流していました。
他にも、大分県臼杵市など、全国各地のふぐの名産地で供養祭は行われています。
愛媛県新居浜市のふぐ供養祭は、ふぐ(29)にちなんで毎年2月9日に行われているそうです。横浜の本牧八聖殿公園には、ふぐ供養塔があります。
さらに下関では、毎年9月1日にふぐはえ縄漁船の出港式が盛大に行われ、大漁旗を高々と掲げた漁船が出向していきます。

5. 禁漁期間のふぐ漁師さんたちの活動

禁漁期間中でも、ふぐ漁師さん達にゆっくりとお休みしている時間はありません。
貴重な資源であるふぐが減少していることを誰よりも強く実感しているふぐ漁師さん達は、ふぐを少しでも増やそうと、地域でトラフグの放流活動を行っています。
他にも、地域によっては、ふぐを通して子ども達のための環境学習や食育活動を行っているところがあります。ふぐの生態系や漁獲方法についてや、ふぐの加工調理方法などを子ども達に教えることで、次世代を担う子ども達へ環境保護や生態保護について学ぶきっかけを作り、海の生き物をいただくことで命の大切さを伝えています。
その対象は子どもだけではなく、大人にも広がっています。ふぐについて広く知ってもらおうと、各地のイベントなどでふぐの資源保護などについて実際の漁師が語る場をもうけてもらっています。
他にも、地域のふぐ漁師さんたちが集い、ふぐ禁漁期間解禁後の漁獲方法について語り合うときもあります。現場のふぐ漁師さん達がそれぞれの知識と経験を共有することで、地球とフグにさらに優しいふぐ漁獲方法を常に模索しています。

古くから日本で食されてきたふぐですが、敵を威嚇する際にふくらんだときの愛らしいキャラクターの反面、毒を持つことで知られています。その他にも、実は漁獲量の減少という厳しい現実を抱えています。
私達にできることは限られているかも知れませんが、例えば、海で釣りをした際に小さなトラフグと出会ったら、そっともとの海へ放ってあげるだけでも、貴重な存在を守ることができます。何年か先、放ったトラフグの子孫達で海がにぎわいを取り戻す日も来るかも知れません。