1. ふぐの漁の種類について
  2. ふぐ漁の歴史
  3. 漁から市場に卸されるまでの時間や作業について
  4. 下関で水揚げされるふぐの種類
  5. ふぐ漁を守る取り組み

1. ふぐの漁の種類について

ふぐ漁の漁法は、大きく分けて針に餌を付けて針で釣り上げる方法と網漁があります
その中でも主な漁法は定置網、延縄漁、底曳網(そこびきあみ)で、平成12年では約11,000tが漁獲されています。ふぐの主な漁場は東シナ海、日本海、瀬戸内海周辺、千葉県以南の太平洋などです。
定置網、刺し網及び底曳網は一部の海域を除いて混獲が主体です。
トラフグの漁獲の主力は釣り漁業ですが、産卵群を対象に一部の海域で巻き網や込まし網による漁業があり、定置網でも漁獲されます。釣り漁業には、延縄漁や一本釣りなどがあります。

▼底曳網
底びき網漁業とは、漁船から伸ばした曳き綱に連結した漁網を曳航し漁獲を行う漁法です。
高級とされるトラフグは底曳網で漁獲されることが多く魚に傷が入りにくいのが特徴です。

▼延縄漁
延縄漁(はえなわりょう)は、明治時代から続く伝統的な漁法です。延縄漁の延縄とは、古くから漁業に使われている漁具の一種です。具体的には、幹縄(みきなわ)と呼ばれる長いロープを使い、先端部に釣り針や疑似餌をつけた複数の短いロープを一定の間隔をあけて取り付けたものを「延縄」と呼びます。幹縄の長さは数100mから100kmになります。
延縄漁はふぐのほかに、マグロ、サケやタラなどの海洋での漁や、ウナギやコイなど河川の漁でも行われています。

2. ふぐ漁の歴史

日本人とふぐは深い関りを持っており、約2万年前の旧石器時代の出土品の中からふぐ科の骨が見つかっています。また、縄文時代の貝塚からふぐの歯骨が出土したことから、ふぐは縄文時代から漁獲されていたことがわかっています。

▼2300年前の中国の文献から
2300年前に記された中国の地理書、山海経には「ふぐを食べると死ぬ」との記載があります。また、中国には黄河などに生息している河フグを食べる文化がありました。中国では揚子江や黄河などの河川に生息するフグ科のメフグという種類が古くから一般的に親しまれており、豚のように体を膨らませていることが「河豚」の由来になったそうです。
そのため、河豚という漢字は中国の河フグが発祥だと言われています。

▼日本のフグ食の歴史
日本のフグ食の歴史は縄文時代頃からと言われています。
文禄・慶長の役により九州に集結した武士の間で、ふぐ中毒で死亡するものが相次ぎました。
そのため、豊臣秀吉が「河豚食禁止の令」を発布したという歴史があります。
その後江戸時代もふぐ食を禁じる藩が多く、ふぐ食が発覚した場合には家禄没収などの処分が下されました。一方で庶民の間では食べ続けられたようで、中毒死もあったようです。

▼河豚食禁止の令を経て、ふぐ食の解禁へ
江戸時代は魚の食文化が発達した時代であり、ふぐ調理法として「ふぐとう汁」という料理法が1643年に書籍に記載されています。

ふぐ食が解禁されたのは明治になってからのことです。ふぐ解禁のきっかけとして有力な説に、初代内閣総理大臣の伊藤博文が下関で出されたフグの味に感心して禁を解いたというものがあります。888(明治21)年、伊藤は下関の旅館『春帆楼』に滞在していました。この時周辺の天候は時化で良い魚が取れず、もてなしの料理に困った女将は処罰を承知でフグの刺身を差し出しました。これを食べて伊藤はが旨いと感動した伊藤は、「下関の河豚には毒は無し」というお触れを出して、ふぐ食を解禁したと言われています。下関市内ではフグ料理屋が増え、高級料理としての道を歩み始めました。全国でフグ解禁となり、現在のような各都道府県の免許制度が始まったのは,第2次世界大戦後のことです。

3. 漁から市場に卸されるまでの時間や作業について

フグの流通経路は複雑で、フグの集積地の下関には東シナ海、黄海、日本海の遠洋から、
瀬戸内海など近海から漁船で直接運び込ます。また韓国や中国からの輸入物も船で運び込まれます。若狭湾や伊勢湾、遠州灘などで捕獲されたフグも陸路でトラックにより運び込まれます。下関の市場に運ばれたフグは、「袋せり」という独特の方法で競りにかけられます。市場から加工工場に運ばれ、フグの危険部位を除去する「身欠き」処理が行われる。ふぐの加工に必須である「みがき」の加工場は下関付近に多く集積しています。その後、再びトラックなどで東京や大阪などへと搬送されます。陸上輸送手段が未発達の時代、漁船の水槽に入れて下関に運ばれましたが、この運搬時間がふぐの肉質向上に大きな役割を果たしていました。フグの肉はフグの死後24時間から32時間程度経過後にうまみ成分であるアミノ酸が最大となるためです。現在でもトラック輸送の運搬時間がこの効果を発揮しています。

4. 下関で水揚げされるふぐの種類

ふぐの仲間3亜目9科101属で構成され、357種が所属します。
トラフグやハリセンボンだけではなく、カワハギやマンボウもこれに属しています。
「天然から養殖まで、トラフグからサバフグまで、あらゆるフグが年間通じて揃
えられる強さ」が下関の特徴になっています。
南風泊市場で扱われるフク全体の約9割を占めるのが、高級食材として知られる
代表格のトラフグになります。南風泊市場では、国産の天然物と養殖物、および中国産養殖物の3種類が取り扱われています。

▼トラフグ
トラフグはふぐの王様と言われ、ふぐ類の中では最も高価で美味とされています。

▼クロサバフグ
クロサバフグは塩干物やかす漬けなどの加工用に使用されることが多いふぐです。
南シナ海産のものの筋肉は弱毒、卵巣と肝臓は猛毒といわれています。

▼シマフグ
シマフグは主に鍋物やから揚げなどで食されます。
比較的値段も安いものが多いのが特徴です。

▼カラスフグ
トラフグと酷似していますが味がトラフグよりも劣るため価格も安い種類のふぐです。

5. ふぐ漁を守る取り組み

現在、日本西部海域のトラフグ資源の状態が悪化し続けているという問題があり、
その資源を守るため、ふぐ漁には禁漁期間があります。
また、未成魚の漁獲も問題になっています。
フグ類の水揚量は近年低迷しており、トラフグ資源の減少が続く中でふぐを一年中獲り続けてしまうとふぐが絶滅してしまい、水揚量が更に減ってしまうためです。
そのため、資源保護の目的で禁漁期間が設けられています。ふぐの禁漁期間は基本的に5月から8月です。ただし、近年、とらふぐの養殖技術が進歩することで天然物にひけをとらない味になってきたため、最近では一年中トラフグを食べることができます。

4月30日には、ふぐへの感謝と供養のため、下関ふく供養祭執り行われています。
下関市内の春の風物詩となっているもので、全国から業界関係者が一堂に会し、法要等の行事に参加します。この供養祭には、全国からふぐ関係者が多数集まり、ふくの供養を行った後、船が関門海峡へ向けて出航しふぐを放流します。

日本とふぐには長い歴史があり、日本全国から愛され食されています。
食の安全を第一に考え丁寧に育てられたふぐは、万全の注意の元に加工され食卓に運ばれます。ただし、ふぐは漁獲量が減少しているという実態があります。
ふぐは限りある資源であることを理解し、これからも守っていく必要があるでしょう。